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『愁月記』 三浦哲郎


愁月記 (新潮文庫)

これは主人公の母親の生前と亡くなって葬儀を出すところのお話で、

正直、私の詳しい分野の話ではなかったです。

以前、散歩の最中に斎場の前を通った際、ふと、もしも自分が喪主になったとしても、

どうしたらいいのか、さっぱりわからないけれど、それで大丈夫なのだろうか。

と考えたことがあった。

親戚の誰かに尋ねるのだろうか、役所に聞きに行けば教えてくれるのだろうか、

そんなことを思っても、結局結論に達しないままだったのだが、

この「愁月記」で、お葬式までの流れがわかった。

これは、一例にすぎないとは思いますが、お亡くなりになった後に仏様を消毒をすることも、私は知らなかったです。

それから、死亡診断書は知っていても、火葬にする場合にはそのための書類が必要になるってことも、

私は知らなかったです。

本の中では、病院の人や葬儀屋の人が、何が必要だと教えてくれていました。

非常事態だし、いくら予想していた状況だとしても、心への負担は大きいし、そんなときに、

先達て、導いてくれる人は頼りになりますよね。

主人公のお母さんが亡くなる直前の人工呼吸の光景にショックを受けている主人公のお姉さんの言葉を見ると、

人の生き死にっていうのは、やっぱり、すごく重たい、衝撃的なものなんだなぁと思いました。

なりふりかまってられない、とにかく、「命」最優先の現場を、その独特の空気、緊張感を想像すると、

・・・途方も無いものだなぁ・・・

と、胸がいっぱいになります。

こみ上げてくるもの、といいますか、締め付けられるような感じ。

こういう、普段の生活からかけ離れた、でも、無関係じゃない、いや、むしろ、すぐ側で起こっていること、

また、すぐにでも自分が陥る可能性のある状況のお話を読んで、

私は今一度、自分の生活を振り返ってみなくてはいけないのかもしれない、せっかく、そのきっかけを手にしたのだから、と思いました。

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